可愛くないから、キミがいい【完】
ラスボスを落とす未来に光がともる。
和泉君、カラオケでは、みんながいたから恥ずかしがってただけだったんだ。意外にもシャイな性格なのかもしれない。
さっきまで全然天使みたいに扱ってくれなかったけど、今から、ドキドキさせてくれるなら許してあげる。
じっと和泉君を見つめていると、彼はさらに近づいてきた。
そして、不意に指を頬にそえてくる。ゆっくりと擦られて、ぞくりと心臓の奥が震えた。
「で、俺はアリなんだな」
ドクン、と胸が高鳴る。
この流れなら、もう、よく分かっている。
「広野」
「な、に?和泉君」
至近距離。
かなり整った顔が、今、目の前にある。
彼の切れ長の目が細まって顔が傾いてきたから、私はゆっくりと目をつむった。
そして、唇に温度がのる、
――――はずだった。