可愛くないから、キミがいい【完】
番外編2 ちゃんと、だいすき?




和泉しゅうと付き合って、二か月ほどが経った。

口争いはしょっちゅうするし、気に食わないところはたくさんあるけれど、別れるという選択肢は今のところまったく生まれていない。

私たちなりに特別な関係を深めていっていると思っている。



<今週の土日、親が旅行だから誰もいないけど、泊まりくる?>


一週間のちょうど真ん中の水曜日の夜、和泉しゅうからそんなメッセージが届いた。

スイーツを食べに行く誘いのときは、いくぞ、とかそういう強引な誘い方ばっかりのくせに。そう思いながらも、メッセージが届いた五分後には、<いいけど>と返事をしていた。


外泊は、付き合う前にはる兄さんの部屋で泊まったきりで、付き合ってからは一度もしていない。

そもそも和泉しゅうの家に行ったこともないし、自分の家の中に入らせたこともなかった。

キスは結構するし、その先もほんの少しだけならしたけれど、最後まではしていない。


彼は、確かに私を求めていると分かる触れ方をしてくるのに、がっついてくることはないのだ。

和泉しゅうの理性は、そう簡単に切れるものではないみたいだった。

だから、 “泊まりにくる?”という言葉には、ついつい期待してしまう。


ついに最後までしてしまうのかも、なんて。


和泉しゅうからはすぐに、<いいけど(笑)◇駅に十時くらいな。迎え行く>と返信がきて、少しムカついたので、怒ったくまのスタンプを返しておいた。





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