可愛くないから、キミがいい【完】
2.矢庭にメランコリー
「もしかしたら、付き合うことになっちゃうかも」
昨夜は、ほとんど眠れなかった。
朝一番に鏡に映った顔は結構悲惨な状態で、目の下のクマだけコンシーラーで必死に隠して学校に向かった。
まあ、コンディションが悪くても、可愛いことには変わりないので良しとする。
浮かれて頬をゆるめているミーナの報告に、内心ゲンナリしながらも、表向きは「えーよかったねっ、みゆも嬉しい」と返しておく。
カラオケの後、二人ですぐにいなくなった時からなんとなくいい感じなんだろうなとは思っていた。
マユは、夜に連絡だけ来たみたいでこれからどうなるかはまだ分からない様子だ。
なほちんは、クラスが違うので話してないけど、あおい君は私のことをねらっていたただの猿だったし、もう一人のクソ男とは連絡先を交換してなかったようだったので、次の機会に期待というところだろう。
昨日の放課後のことは思い出すだけで憂鬱だ。
それに、一晩経って、焦りが心の中を支配しはじめている。
バラされたらどうしよう。広野みゆの本性は最悪だ、って。あいつならやりかねない。それだけは、絶対に避けたいところだ。
「みゆは、あのあとどうなったのー?」
「ええ、どうなったのって、何が?」
「和泉君と。みゆ、和泉君のことタイプでしょ?私には分かるんだからね!」
あいつは、ムカつくから、溝におとしたよ。
今頃、臭い臭い下水の一部になっているかもしれない。 下水以下だから丁度いい。
なんて、本当にそうなっていればいいけれど、どうせ、東高でピンピンしているのだろう。