可愛くないから、キミがいい【完】
「んー、マユの予想はハズレだよ。みゆ、あんまり和泉君はタイプじゃなかったかも」
「でも、めちゃくちゃかっこよかったね。それに、なんだろう、チャラくないのに遊び慣れてそうだなあとも思った。男子校じゃなかったら絶対にモテすぎてヤバいと思う」
「えー、そうかな? なんか、性格悪そうじゃない?」
そこで、ミーナとマユが驚いたように私の方を見てくるから、こてん、と首をかしげておいた。
「なに?」
「いや、珍しいなと思って。みゆ、あんまり性格のこととか言わないじゃん」
どきん、と心臓が跳ねる。
一瞬の焦りを悟られないようにへらへらと可愛く笑って誤魔化しておいた。
最悪だ。昨日の夜じゅう、和泉しゅうを忘れることに時間を費やしていたというのに、次の日にまで悪い影響を及ぼしている。
性格なんてどうでもいい。
それは今も変わっていない。
和泉しゅうが、どうでもいいの範疇をこえてきただけの話だ。
これ以上二人と昨日の話をすると、ボロが出そうだし、どんどん憂鬱な気持ちが増して昨日睡眠を削ってまでおこなったことが無駄になりそうだったので、トイレにいくことにする。
廊下で、仲良しの男の子たちに声をかけられたから、天使スマイルを返してあげた。