可愛くないから、キミがいい【完】





高校に入りたての時に、駅近のカフェでバイトしていたときにバイトの先輩として出会った大学生の男の人だ。

お互いに付き合ってる人がいない時だけ、会うような関係の人とは、この人のこと。もちろん極上のイケメンだ。


『みゆと付き合いたいけど、俺と付き合う気はないでしょう?』ってそういうことを言って困ったように笑う仕草が、とてもかっこいい人。

ほんの少しだけ彼氏にしてあげもいいって思ってた時期もあったけれど、その仕草が欲しいから、たぶん一生、付き合うことはないと思う。



〈近々、会える?久しぶりに、みゆに会いたいんだけど〉

〈うれしいです。今日とかでも会えるよ?〉



躊躇うこともなく素早く返信したのは、憂鬱の毒が身体を巡っていたからだけど、たぶんじっくり考えたところで、返す答えは同じだった。


可愛いってたくさん言ってくれる。可愛い部分に惹かれてくれて、まっすぐな好意をくれる。

それでいて、ルックスがよくて、キスもそれ以上の行為もうまい。しつこく付き合うことを迫ってくることもないし、私のことを一番に考えてくれる。


この世界はそういう人だけでいい。






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