可愛くないから、キミがいい【完】
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「えー、めちゃくちゃ人いるね?」
「……ちょっと、さっきすれ違った人、かなりかっこよかったんだけど!」
「もう。なほちんは、すぐイケメンレーダー発動させるじゃん」
「みゆみたいに、可愛くないからね、発動しないと逃しちゃうもん」
なほちんのため息に苦笑いをしながら、にぎやかな東高の門をくぐる。
そう、
―――結果的に、私は、東高の学祭にきてしまった。
僅差だった。
和泉しゅうには絶対に会いたくないという気持ちと、東高の男の子たちに天使みたいにちやほやされたいという気持ちを天秤にかけた結果、僅差で後者が勝ってしまったのだ。
会いたくない、会いたくない。
呪文のように唱えながらも、一番可愛くみえる表情を浮かべたままに、歩く。
ちらちら、と鼻の下をのばしたたくさんの男の子たちが見てくるから、時々目を合わせて、微笑んであげる。
サービスはとても大事だ。
今日は、ツインテールにして毛先をくるくると巻いてきた。前髪もくるくるにしてある。
ふんわり柔らかいイメージの愛されガールが、一応のテーマだ。
イケメンに声をかけられたら連絡先を交換して、一緒に学祭をまわる。自分からはいかない。
今日はそういうプランでいく。
早々と、マユたちと別行動ができたら、和泉しゅうとも会わないですむだろう。