可愛くないから、キミがいい【完】
くまの可愛いキーホルダーがついたリュックを机の横にかけて座ると、マユとミーナは企んだように顔を見合わせて笑った。
「まあ、そんなことだと思ったからさ、実は、なほちんに頼んで東高の人たちとのカラオケの約束とりつけましたー!ちなみに、みゆの顔でつったんだけどさ、怒らないでね。あっちもイケメン揃いらしいから」
「ええ、また私の顔悪用した!可愛くないのに、ひどいよ。なほちんにもデコピンしちゃうもん」
可愛くないって、建前はお約束。
よく男の子たちを呼び出すために利用されるけど、悪い気はしない。
むしろ馬鹿なの?って、思ってしまう。
そんなことをしたら、みんな私のことを好きになってしまうかもしれないのに。
「それで、いつなの?」
「今日だよ、駅前のカラオケ」
「むー。急だなあ。でも、ありがとね?」
女子は、わたしとマユとミーナとなほちんの四人らしい。
男の子の方も四人だ。
名前を言われたけど知らないし、好みのイケメンがいたら狙おうかなってそんな程度だ。
こういうのに来るのは、正直しょうもない男の子ばっかりだ。審査は厳しくなると思う。
チャラチャラした人は無理だし、本気で彼氏にするならステータスになるようなちゃんとした男の子を選ばないといけない。
マユとミーナは今日来る男の子たちのSNSを検索してチェックしていたけれど、私はお楽しみにしておきたいからそういうのは見ないようにしている。
SNSなんて加工だらけで顔面詐欺の宝庫だ。
それで実物をみてがっかりするくらいなら、本物しか知らない方がマシなのだ。