可愛くないから、キミがいい【完】





気が付いたらもういい時間になっていた。

お腹がいっぱいになっていたので、たこ焼きは、仲良くもないの仕方なく和泉しゅうと半分こした。

それから、なぜかまた手作り感満載のお化け屋敷にふたりで入って、仲良くもないのにずさんなセットの作りに笑いあってしまった。



玄関のところでみんなと合流する。

あっという間に過ぎていった時間が、和泉しゅうと一緒にいたことを楽しんでいたことの表れみたいでなんだか嫌だし、それだけは断じて違うと思っていたい。




「あ、みゆたちだー!」


上機嫌のなほちんに手を振られて、振り返す。

私以外の女の子はみんな機嫌がいいし幸せそうで、不運なのは私だけだったみたいだ。


どうして私が一番可愛いのに、こんな仕打ちを受けるのか分からない。神様の試練なのかもしれないけれど、正直そういうのは求めてない。


校門のところまでみんなで歩いて、そこで男の子たちとは別れて、帰ることにする。


男の子たちは後始末があるらしかった。

和泉しゅう以外の男の子には、ばいばいって可愛く手を振ってあげた。


今度こそ、和泉しゅうにはもう二度と会わないと決意して、背を向ける。


ちくちく、どきどき、むかむか。

分かる感情と、分かりたくない感情。それから、知らない感情が心の中で盛大に喧嘩している。







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