キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
大活躍なのはケガがすっかり治った池田先輩だ。

彼はワンアウト一、二塁でバッターボックスに立つと、レフトの頭上を越えるヒットを放った。

その後も打線は好調で、あれよという間に五人がホームベースを踏んだのだ。


「キャー!」


点が入るたび、女子の悲鳴にも似た叫びが響き渡る。


「福岡先輩、ファイト!」


私は先発の福岡先輩に向かって声を張りあげた。

北見先輩はベンチ入りしてスコアブックをつけている。

彼は一回の裏を三人でしとめてみせた。


「余裕じゃん」


大島くんがつぶやくけれど、なにがあるかわからないのが高校野球。

甲子園の熱闘を何度も見ているが、圧倒的な力を見せつけていたチームがたったひとつの失策で総崩れするケースもあった。
油断は禁物だ。


しかし、旭日高校はその後も圧倒的な強さを見せて、四回が終了した時点で九対〇と九点差。

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