キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
池田先輩にかばってもらえたうれしさで、顔が真っ赤になっていないか心配になった私は、そそくさとふたりの前から走り去った。


先輩、優しい……。

一年生の私にも気配りを忘れない彼のことが、ますます好きになってしまう。


少しでも早くグラウンドに戻るために木陰で弁当をかき込んでいると、北見先輩がやってきた。


「柳瀬さん。あの……」


先輩は眉間にシワを寄せてうつむく。
だから私は笑顔で声をかけた。


「先輩。私、どう頑張ってもあの線しか引けないんです。手伝ってもらえませんか?」


初めて先輩に仕事を頼めたかも。


「わかった。ライン引きは任せて。道具は準備しておくから、ゆっくり食べておいで」

「ありがとうございます!」


ずっと手伝ってもらえなくてモヤモヤしていたけれど、もしかしたらひと言お願いすればよかっただけかもしれない。

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