キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
後輩だからと過剰に気を回して、遠慮しすぎだったかも。


先輩が戻っていく後ろ姿を見ながら、ソーセージを口に放り込む。

さらにその先には池田先輩の姿が見えた。


「頑張ろ」


やっぱり彼らが甲子園でプレーする姿を見たい。

残りのご飯をパクッと口に入れて飲み込んでから、私は準備に合流した。



始まった紅白試合は、一年生にも出場のチャンスがある。
中江くんと池田先輩は紅チームだ。


「池田先輩、ファイト!」


一回の表で四番を務める池田先輩に向かって声を張りあげると、隣にいた中江くんが小さな笑みを漏らした。


「だから、わかりやすいって」


小声でつっこまれて動揺したものの、無視して応援を続ける。

相手のピッチャーは、我が旭日高校のエースピッチャー福岡(ふくおか)先輩だ。


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