キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
「ナイスバッティングだ。お前、いつの間にこんなに力をつけたんだ?」


中江くんは一年生の中では断トツで野球のセンスがあるとささやかれてはいたものの、甲子園の予選では一度しか出場機会がなかったのに。


「ぼやぼやしてると、レギュラーいただきますよ。先輩たちも頑張ってください」


一年生らしからぬ生意気な発言に、近くにいた先輩の眉が上がる。

その言い方はないでしょ!と注意したいくらいだったけど、あの鮮やかなホームランを見せられてはなにも言えない。


「そうだな。頑張るわ。皆、中江に負けるな!」
「はい!」


一瞬悪くなりかけた雰囲気をいとも簡単に持ち上げるのが、池田先輩のすごいところ。

その後のふたりは三振とピッチャーゴロに倒れたけれど、一点追加できた。


そして五回の裏。
マウンドに立った中江くんは、なんとすべてストレートを投げて三球三振。

< 42 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop