キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
少し前までは三年生の先輩と池田先輩が一軍だったのが、池田先輩以外は総入れ替えになっているため、まだまだギクシャクしている。


「内野集まって。確認作業するぞ。外野は素振り開始」


池田先輩のひと声で、疲れている皆の表情がピリッと引き締まり、一斉に次の練習に散っていった。


「柳瀬。ホワイトボード持ってきてくれる?」
「わかりました」


池田先輩の指示で部室に走る。

しかし、途中でなぜか体がふわっと揺れ足がもつれて転んでしまった。


「柳瀬!」


大きな声がして駆け寄ってきた誰かに抱きかかえられる。


「お前、無理しすぎ。さっきからフワフワしてるけど、熱中症じゃない?」


声の主は中江くんだった。

熱中症……?


「柳瀬、大丈夫か?」


池田先輩まで来てくれたため、迷惑をかけて申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「保健室連れていくんで、少し抜けます」
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