キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。

心の中を言い当てられて、しかも『お前も娘だぞ』という言葉が胸にぐっときた。

幼い頃から体が弱い真奈が優先なのは当然だったし、特にそれが嫌だと思ったこともない。

双子だというのに、私だけ健康で自由に外出できるのがちょっと申し訳ないと思っていたからだ。


「……そっか、娘か」
「息子の間違いだったか？」
「そこはあってる」


いちいち茶々はいらないって。
けれど、中江くんと話していると元気になれる。


「お前はお前の人生をもっと楽しめばいいのに」
「私の人生？」


意外なことに触れられてふと考え込むと、彼は笑う。


「飲んだら行くぞ」
「あっ、お金」
「いらね。俺、金持ちだから」
「嘘だー」


そんな話、聞いたことない。

彼の厚意を強く拒否するのも悪いかと思い、素直におごってもらうことにした。