キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
電車に乗り、家の最寄り駅につくと、中江くんまで降りてきて家まで送ってくれると言う。


「ほんとごめん。でも助かる。ありがとう」


家の前についた私は、ずっと持ってもらっていたカバンを受け取り、彼に頭を下げる。


「明日もこの調子だったら学校休め。とりあえず部活には来るな」


来るな、なんて冷たい言い方のようにも聞こえるけれど、それだけ心配してくれているのだろう。


「うん、そうする」
「柳瀬。お前……さっき言ったこと覚えてる?」
「さっきって?」


どの話?


「まあ、いいや。それじゃ」


彼はあっという間に元来た道を戻っていった。



「ただいま」
「おかえり」


リビングから母の声が聞こえてきたけど、私はそのまま二階に上がった。

いつもそうだし、少し横になりたかったからだ。


階段を上がると、手前の部屋のドアが開き、真奈が出てきた。


< 60 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop