キミがくれた奇跡を、 ずっとずっと忘れない。
バッティング練習が終わると今日の練習は終了した。
私は用意してあったお茶を紙コップに注いで部員たちに手渡していく。


「柳瀬サンキュ。お前、こげたなぁ」


二年生のキャッチャー、木下(きのした)先輩が私の顔を見てひと言。


「あはは。つっこまないでくださいよ」


一応気にしているんだから。

私たちが話していると、突然冷たいタオルを顔に押しつけられて目の前が真っ暗になった。


「ちょっ」


はねのけると、中江くんがニヤリとイジワルな笑みを浮かべている。


「冷やしとけ。シミが増えるぞ」
「大きなお世話よ!」


タオルを突き返したのに、彼は今度は私の首の後ろにそれを置く。


「いいから。チビは熱中症になるぞ」


もしかして心配してる? 
それなら、シミが増えるは余計でしょ? 

ついでにチビもいらないし、関係ないでしょ? 

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