先生がいてくれるなら②【完】
「先生……私、先生のお誕生日、知りません。教えて下さい」
そう。先生の誕生日を、私は知らなかったんだ。
「あぁ、……いや別に知らなくても良いよ。俺、生まれてきたこと、後悔してるから。祝ってもらうような日なんかじゃない」
──先生と話をするようになった頃に、先生の生い立ちを聞いたことがあった。
先生曰く『愛人の子』で、弟さんの光貴先生と下の弟さんの二人は腹違いの兄弟だそうだ。
でも。だからって、生まれて来ない方が良かったなんて事は、絶対に無いと私は思う。
少なくとも私は、先生と出会えて、心から良かったと思ってる。
生まれてきたことを後悔なんてして欲しくない。
だから私は、先生に、私の想いの全てを伝える──
先生の生まれて来た意味を──
先生と私が出会った意味を──
私の、精一杯の気持ちを……。