先生がいてくれるなら②【完】
「先生……。私、先生が生まれてきてくれて、本当に嬉しいです。出会えて、とっても嬉しいです。だから、そんなこと言わないで下さい。後悔なんか、しないで欲しいです。これから先、いろんな事があると思うけど、私だけは絶対、絶対、先生の味方ですから」
忘れないで欲しい。
どんな時でも、私の先生へのこの想いを。
きっと一生変わることは無いと思うから……。
先生の美しい瞳が、ゆらゆらと揺れる。
その綺麗な瞳が、私を真っ直ぐに捉える。
先生が、私を優しく……優しく抱き締めた。
「……2月11日」
先生は私を抱き締めたまま、私の耳元でそう呟いた。
「……素敵な日ですね。建国記念日ですし」
私がそう言うと、先生は「全然、素敵じゃないから」と言って苦笑してるけど……。
「素敵ですよ。先生が生まれた日なんですから。だから……お願いだから、後悔してるなんて、言わないで下さい」
「……うん」
先生は、そっと私を抱き締めて、小さく少しだけ震える声で「ありがとう」と言った────