先生がいてくれるなら②【完】
立花は「おかえりなさい」と満面の笑みで俺を迎えてくれた。
たったそれだけの事が、こんなにも嬉しい。
「こっちに来て座って下さい」
そう言って俺の腕を引いてソファへと座らせ、自分は俺の向かい側に座ろうとしたので、俺はとっさに立花の手を掴んで隣に座らせたが背中が痛んだらしく、顔をしかめた。
もっと気を付けてやらなければならなかったのに、俺は何をやってるんだ。
「大丈夫です、ちょっと忘れてて……そんなに痛くないですから」
痛くないわけないだろう。
光貴にも聞いたが、痣は背中の全面にあったらしいし、そんなに強い力では無いにしろ、かなり長時間蹴られたんじゃないかと言う事だった。
立花に口止めされてるのか、それ以上の事は問い詰めても光貴は何も教えてくれなかったが……。