先生がいてくれるなら②【完】
「あぁ、そう言えば……」
すっかり忘れていた、立花にお土産、と言うか……。
「……誕生日プレゼントだけど」
そう言って手渡すと、立花はとても驚いた顔をして俺を見た。
修学旅行の際に、立花の友達の滝川美夜が『せっかく沖縄で誕生日パーティーしようと思ってたのに』って嘆いていて。
俺が首を傾げていると、そっと近寄ってきて小さな声で『明莉、10月1日が誕生日だから』って、俺だけに聞こえるように呟いてくれた。
それがなければ、俺は今も立花の誕生日を知らなかっただろう。
箱の中身は──沖縄の青い海を閉じ込めたネックレス──。
キラキラと光るそれを嬉しそうに眺めている立花に「つけてあげる」と言って、彼女の細くて華奢な首の後ろに手を回した。
ほんの一瞬だけ彼女の肌に手が触れると、小さくピクリと反応するのが、面白くて可愛くて。
ネックレスを付け終え、彼女の額に唇を落とした。
うん、「立花は色が白いから、やっぱり青いの似合うな」、すっげー綺麗……。
「お誕生日おめでとう」
俺なんかと一緒にいてくれて、ありがとう、愛してるよ。
感謝と愛を込めて、もう一度立花の額にキスをした。