先生がいてくれるなら②【完】
私の牽制に、先生は再び悪い笑みをその美しい顔にたたえながら、「だったら、なに」と返してくる。
「あ、あの……」
何て言い返しても、この人には到底、口では勝てそうに無い。
だけど──時間だけは私に味方をしてくれたようだ。
時計を見ると、もうすぐ予鈴の鳴る時間。
私が時計に目をやったことに気付いた先生は、あっさりと私の手を解放した。
私はカップに手を伸ばし、残っていたコーヒーをゴクリと飲み干す。
「じゃ、私、教室行きますね」
そう言って椅子から立ち上がろうとする私に、先生は「日曜日、行きたい所考えといて」と言って、私の頭をふわりと撫で、綺麗な顔でにっこりと笑った。
「……はい」
先生って、
……ツンデレ。