先生がいてくれるなら②【完】
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そして、付き合って初めての日曜日がやって来た。
「どこに行きたい?」と聞かれ、真っ先に思いついた場所を先生に告げると、先生は苦笑した。
「良いの? そんな所で」
「そんな、って……」
「二人っきりになれる場所じゃ無くて大丈夫か、って意味だけど」
先生の顔を見ると、案の定、悪い笑顔で私を見ていた。
先生の揺さぶりに負けまいと、「だ、大丈夫に決まってますっ」と返したが、先生と目を合わせる勇気は無くて、私の視線はついあちこちを彷徨った。
「なーんだ、つまんね」
そう言って笑いながら、私の頭をクシャリと撫でて、車を発進させた。