先生がいてくれるなら②【完】


──私たちが乗っている車は、今、海沿いの道を走っている。


そう、私が行きたいと告げた場所は、リョウさんとユキさんのお店だ。



ユキさんとは時々メッセージのやり取りをしているけど、実はまだ先生と付き合うことになったって言うことを報告していない。


恥ずかしくて、何て書いて送れば良いのか分からなかったから、と言うのもある。


先生にとってあの場所が特別なように、私にとっても大事な場所だ。


だからどうしても、また一緒に訪れたかった。



真夏のような眩しいほどのキラキラ感はないけれど、それでも秋の優しい日差しを浴びて、海の水面がその光を美しく反射させている。



車をお店の駐車場に止め、私たちはお店へと足を踏み入れた。


開店直後とあって客はまだ誰もおらず、1階ではユキさんがディスプレイを秋物から冬物へと模様替えをしている最中で、私たちが入ってきたことにまだ気付いていない。


「有紀さん」

「こんにちは……」


先生と私がそう声をかけると、ユキさんの手がはたと止まり、驚いたように振り向いた。

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