先生がいてくれるなら②【完】
「たっ、孝哉! 明莉ちゃんっ!」
私たちを見たユキさんは、ちょっと驚いた表情で、でもすぐに私と先生を交互に見やる。
そして最後に私と先生の繋がれた手を見て──なぜか瞳にみるみる涙が溜まり、すっかり涙目になった。
ユキさんは何かを言おうとして、でも言葉にならないようで、代わりにウンウンと頷いている。
「そ、そっか、……良かった、良かったねぇ……」
ユキさんは辛うじてそう言うと、「あぁもう、今日はもうお店閉める!」なんて言って、開店したばかりなのにお店を閉める準備を始めてしまった。
そんなユキさんを見て先生は苦笑する。
「孝哉、上に行ってリョウに『今日はお店開けない』って言っといて! 私、顔洗ってから行く」
ユキさんはそう言い残して、バックヤードへと消えて行った。
「あの人は、相変わらずだなぁ」
先生は苦笑しながら私の手を引いて2階へと上がって行く。