先生がいてくれるなら②【完】

1階での騒がしさに気付いたリョウさんが、今まさに1階へ降りようと階段へ向かおうとしている所へ鉢合わせた格好になった私たちは、リョウさんの驚きに満ちた顔に迎えられた。


「た、孝哉、お前……」


やっぱり私たちの繋いだ手を見て、絶句している。


本当に夫婦仲良く同じリアクションだなぁ。


羨ましい。



リョウさんが後ずさり、私たちは階段を上がる。


「こんにちは、先日はお世話になりました」


私が頭を下げると、リョウさんの驚いた顔が途端に優しい笑顔にった。


「いらっしゃい、明莉ちゃん。……そっか、良かったなぁ」


うんうん、と頷いて。


そして、やっぱり、ちょっぴり涙目になった。



私は気恥ずかしくなって先生をチラリと見上げると、先生も少し照れ笑いをして私の手をギュッと握った。



「まぁ、座れよ。いまコーヒー淹れる」


リョウさんは私たちを座らせて、すぐに厨房へと消えていった。


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