先生がいてくれるなら②【完】

私が「やっぱり仲の良い夫婦ですね」と言うと、「リアクションが全く同じだもんなぁ」と先生も呆れたような羨ましいような、そんな表情をしている。



前に来た時、ユキさんが『20年も一緒にいれば誰でもこうなる』みたいな事を言ってたけど、誰でもってわけじゃないよね。


やっぱり、二人はとてもよく似ていて、相性が良くて、お互いのことをとても大事に思ってて、きっととても愛し合ってるんだと思う。


だから、やっぱり私も本当に羨ましいと思う。



しばらくしてコーヒーを運んできてくれたリョウさんに先生が「下でユキさんが『今日はお店開けない』って言ってましたよ」と伝えると、リョウさんは驚きもせず「だよなぁ。俺も今日は店やる気ゼロだわ」なんて言って笑っている。


「今日は、ねぇ?」


先生が呆れたようにリョウさんに返す。


「コノヤロウ、相変わらず生意気だな」


リョウさんは先生の頭をゲンコツでグリグリしていて、先生は「いてて! 暴力反対!」なんて言っていて、なんだかとても新鮮な光景が私の目の前で繰り広げられていた。


そこへユキさんがやっとやって来て「何じゃれてんの~? 私も混ぜてよ~」なんて言って、ユキさんはリョウさんの頭をグリグリしている。


私は仲の良い3人をぐるりと順番に見やって、笑った。


< 143 / 354 >

この作品をシェア

pagetop