先生がいてくれるなら②【完】

反則だ──。


そんな綺麗な顔で、綺麗な瞳で、艶っぽく微笑みながら覗き込まないで欲しい。


そんでもって、その発言内容も、反則っ。


「こ、この先、って……!」


「んー?」


ほんの少し首を傾げて、分からないフリをする先生。


「なに? この先、何があるか言ってみて?」


そんな風に意地悪を言いながら艶めかしい余裕な表情で、私をいじめるのやめて欲しい……無理、心臓もたない……。


赤い顔であわあわするしかない私を、先生は満足そうに見下ろした。


そして、「うそだよ、ごめん」と言って、また私の額に口づけて……「やっぱ、ウソじゃないかも……」って呟く。



「?」


今度は私が首を傾げる番らしい。


先生の発言の意味が分からず、今度は私が先生の顔を下から覗き込んだ。


「──お前さ、その顔、反則……」


私を一度ふわりと抱き締めて、また私の顔を覗き込む。


「え、何がですか……?」


首を傾げて先生を仰ぎ見ると、先生はフッと目を細めて「キス、したくなるから……そう言う顔、やめろ」って苦笑いした。



えっ……?



先生の言葉に、一瞬、思考が追いつかなくなる。



……キ、ス?



やっと私の頭の中で先生の言葉の処理が終わって、その途端に顔が熱くなった。



きっと顔どころか、耳も、首も、真っ赤だと思う。


だけど、こればっかりは自分ではどうすることも出来ない。


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