先生がいてくれるなら②【完】

赤くなった所を見られたくないと思うけど、この至近距離ではどうやっても隠せないから、せめて俯いて顔ぐらいは隠そうとした所で、案の定先生の両手に阻まれた。


先生は俯こうとする私の頬をさっきみたいにまた両手で包み込んで、上向かせる。


「せ、先生……」


抗議の意味を込めて呼ぶ。



「キス、したこと、ある?」



そんなこと聞くの、ズルい。


だって、あるわけないもん。



先生は私の顔を覗き込んで「ん?」と私に返事を促す。


先生の手で頬を包み込まれているので首を振ることは出来なくて、私は消え入りそうな声で「……ない、です」と答えるのが精一杯だった。



先生は目を細めて、ふっと優しく微笑む。


そして──






「──キス、していい?」





そう囁いた先生の言葉に、さっきよりもずっと顔が熱くなって──


だけど、とても、とても、嬉しくて──



私は小さく、「はい……」と返事をした……。


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