先生がいてくれるなら②【完】
私たちは再び、手を繋いで海辺を歩いている──。
私がふと先生に視線を向けると、先生も私を見つめ返してくれて。
こんなに幸せな時間がこの世に存在して良いのかと思うほど、いま私は、本当に、本当に、幸せ……。
絡めるように繋いだ手からじんわりと伝わる体温が心地良い。
秋の気持ちよく乾いた風が私たちの頬を優しく撫でる。
秋の日差しが私たちを照らした後、砂浜に二人分の影を落とす。
映し出された二つの影は、離れること無く仲睦まじそうに並んだままだ。
手を繋いだ形で決して離れることの無い影を見て、私は心がじんわりと温かくなるのを感じた。
手を繋いで、色んな話をして、時々お互いの存在を確かめるように見つめ合って、笑い合って。
思い出の海岸を“恋人同士”として散歩した私たちは、再びリョウさんとユキさんのお店に戻ってきた。
先生は「このまま家に帰ろうか」なんて、冗談を言ってたけど。