先生がいてくれるなら②【完】

「おかえり~、楽しかった???」


ニコニコ笑顔の仲良し夫婦が迎えてくれる。



私が「はい」と答えると、先生が繋いだ手にキュッと力を入れるのが分かって、ちょっと嬉しかった。



「じゃあ、ランチにしよう~」


ユキさんはそう言って、美味しそうな食べ物を載せたプレートを運んで来る。


「あ、お手伝いします!」と言ってユキさんを手伝おうとしたけど「いいから、孝哉と座ってて!」と押し戻されてしまった。


先生は「任せておけばいいから」と言って、私を引っ張って行って、椅子に座らせた。



テーブルの上には、リョウさんが腕を振るったであろう、おしゃれで美味しそうなランチのプレートが並ぶ。


ユキさんがドリンクを運んできて、キッチンにいたリョウさんもテーブルについて。



「孝哉と明莉ちゃんに、乾杯~! カップル成立、おめでと~!」



嬉しいけど、やっぱりちょっとだけ恥ずかしい……。


私は照れてしまって、先生の方を見られない。


でも嬉しい。すごく、すごく。


こうやって、先生の大切な人が私を迎えてくれることが。


私と先生は “教師と生徒” だけど、その枠を取り払って迎えてくれることが、とても嬉しい。


学校に戻れば私たちは先生と生徒だけど、いまだけは、ただの恋人同士、ただの彼氏と彼女の関係でいられることが、とても幸せ。




いつまでも、いつまでも……この幸せが続いて欲しい──。




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