先生がいてくれるなら②【完】


立花がリョウさんと有紀さんの店に行きたいと言う理由は、もちろん俺と一緒だろう。


二人に俺たちの関係を報告するためだ。


二人は俺たち──特に立花のことをとても気にかけてくれているようで、立花は有紀さんと頻繁に連絡を取り合ってるようだった。


有紀さんは特に、俺の女性に対する態度や考え方を間近で見てきた人だから、きっと心配なんだろうな。



確かに、あの頃は俺もかなり酷かったから……


さすがに同時に何人もの人と付き合う事はしなかったし、相手を裏切ることだけはしなかったけど……途切れること無く誰かと付き合っては別れ、と言うのを繰り返していた。


俺から求めることはほぼ無くて、相手が勝手に付き纏って来て勝手にどっかに去って行く、そんなのばかりだった。



それでも付き合えば一応相手のことはそれなりに尊重してたし、同じ時間を共有する事もある程度は大事にしてたつもりだけど……相手側はそれだけじゃ足りなかったらしく、だいたいいつもお決まりの台詞で関係が終了する。



『数学と私、どっちが大事なの?』



高校生の時も大学生の時も、ほぼ──いや、寸分違わずこの台詞で相手が去って行った。


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