先生がいてくれるなら②【完】
立花は「やっぱり仲の良い夫婦ですね」なんて言ってうれしそうに笑っていて。
同感で、「リアクションが全く同じだもんなぁ」と俺も呆れて、でもやはりそんな仲の良い二人が羨ましくて、苦笑いをした。
リョウさんも有紀さんも、こんな俺のことを家族のように接してくれる。
時には兄弟のように。
時には親子のように。
じゃれ合う俺たちを、立花は嬉しそうに眺めながら笑っている。
これからはお前もこの輪に加わるんだぞ。
リョウさんはともかく、有紀さんは手強いから覚悟しとけよ……。
そして早速、有紀さんの手強い質問が投げかけられた。
「──で、どっちから言ったの?」
有紀さん……それ、分かって言ってるだろ。
俺から言えないって、分かってるくせに。
──言えないどころか、本当は “生徒の気持ちに応える” なんて事はしちゃいけないんだ。
俺は生徒を教え導く立場の人間なんだから……。
だけど……俺は自分の感情を優先して、立花を手元に置くことを選んだ。
良いことでは無いのは分かっているが、もう自分の気持ちを止めることが出来なかった。