先生がいてくれるなら②【完】
俺が生まれてきたのが少し早すぎただけ──
立花が生まれるのが少し遅すぎただけ──
ただ、それだけなんだ────。
有紀さんの──有紀さんとリョウさんの、言いたいことは分かってる。
大丈夫、立花のこと、ちゃんと大事にするよ。
有紀さんの言葉を真に受けた立花が、どう返事をしようか迷っている。
ばーか。
言わなくていいんだよ、そんな事。
お前がくれたあの言葉は、宝物のように俺の心の中に仕舞っておく、それだけでいいんだ。
「散歩に行って来る」
そう言って俺は、また前のように立花の手を引いて、海岸へと足を向けた。