先生がいてくれるなら②【完】
あ、コラ。
誰が離して良いって言った?
しかも走って逃げるとか、許せん。
砂浜に足を取られるから、走ってるって言うより、もがいてるようにしか見えないけどな。
「俺から逃げようなんて、百年早いから」
あっさりと立花を捕まえて、優しく──痣が痛まないように、出来るだけ優しく抱き寄せた。
「先生が意地悪するからです」
ふっ、コイツ、分かってねぇな。
あれをただの意地悪だと思ってた、って?
バカだな、「あれは、意地悪じゃなくて、“愛撫”って言うの」。
そう耳元で囁いてやると、真っ赤になって慌てふためいている。
──なぁ、“くすぐったい” と “気持ちいい” の違いって、何だと思う?
まぁまだ立花にはそんな話題は早いから、今はしないけど。
そのうちゆっくり教えてやるよ……。