先生がいてくれるなら②【完】
立花の耳に唇を寄せると、とても赤く、熱くなっていて──。
ふふっ、まだまだ純情なお子様に、“愛撫” なんて言葉は刺激が強すぎたか。
「……お前の耳、すごく熱い。なんでかな」
そう耳元で問いかけると、耳や頬だけでなく、白いうなじまでもがほんのりとピンクに染まる。
可愛すぎて、愛おしすぎて、どうしてもちょっとだけ意地悪したくなっちゃうんだよなぁ。
いじわる、と俺を非難する立花を優しく抱き締めて──。
心の中で『ごめん、愛してる』って呟いて──。
そんな俺の心を見透かすかのように、立花が俺の背中に腕を回し、ギュッと抱きついてきた。
『先生の心なんかお見通しです』と言わんばかりに──。
お前にはホント、敵わない。
あの時も、もう少しでお前に『好きだ』って囁きそうになった。
あの時も、俺の邪な心を諫めるように、お前は俺の背にそっと手を回して来た。
同じ事の繰り返し。
だけど、今は少し違う。
立花と、恋人同士として再びこの場所を訪れることが出来たことに嬉しさが込み上げ、思わずフッと笑みが零れた。