先生がいてくれるなら②【完】
修学旅行が済めば、すぐに体育祭がやって来る。
エントリー種目は既に修学旅行前に決まっていて、私の個人種目は『全校対抗リレー』だ。
このリレーは、1~3年生の混合チーム、部活動混合チーム、教員チームの3つで同時に競う特殊且つ最も盛り上がるリレーだ。
各学年の各クラスを色別に──例えば『1組は赤、2組は黄……』というように分ける。
部活動は運動部と文化部で体力差にならないように混合して、2チーム。
それに教員1チームが加わって、食堂の1週間無料券を賭けて争う白熱のリレーなのだ。
私は普段から自作のお弁当だからあまり気乗りしないのだけど、クラスの男子を始め、食堂利用組からの熱い要望でエントリーすることになった。
「──めんどくさい」
数研の部室で、藤野先生が、本当にめんどくさそうに呟く。
「え?」
「全校対抗リレーに狩り出された……気づいたら教頭先生が勝手にエントリーしてたらしい……」
いつものジキル博士な藤野先生よりも更にずっと弱々しい感じに、思わず笑みがこぼれた。
「……笑い事じゃないんだけど」