先生がいてくれるなら②【完】
「先生、教員チームのアンカーは誰ですか?」
と、さりげなくリサーチ。
走る順番は決められていないこのリレー。
早いうちに他チームの情報収集をして走る順番を決めるのは、このリレーの重要な戦略のひとつだ。
「……俺」
ほとんど聞こえないほどの小さな声で呟き、長机に突っ伏した。
「──教頭先生、センスの塊。ナイス教頭……」
私が思わず呟くと、ガバッと起き上がった先生にペシッと頭を叩かれた。
「いたっ。怪我人に対する暴力反対!」
「怪我人はリレー禁止」
「あ、先生、私に負けると思ってるんでしょう!? ふふふ!」
「くそっ……本気で走ってやる……」
私と先生のやり取りを見ていた市橋君が小さな声でボソッと呟いた。
「……痴話喧嘩、禁止……」
他の部員には聞こえてなかったみたいだけど……
私と先生が同時に凍り付いた事は、言うまでもない──。