先生がいてくれるなら②【完】
救急車で運ばれる立花に付き添って、俺はいま病院にいる。
運良く、彼女が運ばれた病院は弟が研修医として勤務する大学病院だった。
ここには彼女の母親も小児科の看護師として働いているから、彼女の検査と処置を待つ間に小児科病棟へと向かった。
今日あった事を彼女の母親に説明し、頭を下げる。
先生のせいじゃないからと言う母親に、俺はそれでも何度も頭を下げ続けた。
そろそろ処置も終わる頃だろう。
「私も今すぐ明莉の所に行きたいんですが、いま持ち場を離れられなくて……。先生、申し訳ないのですが少しの間明莉に付いていてもらえますか?」
彼女の母親の申し出に、俺は大きく頷く。
そしてもう一度深く頭を下げて処置室へと戻った。