先生がいてくれるなら②【完】

教員チームの走りと共に、時折私と先生の映像がインサートされる。


どんだけ凝った編集してるんだ。


臨場感が凄すぎて、私は思わず手に汗を握る。



私のチームの第三走者である一年生君が走り終わる頃、うちは2位、教員チームは5位だった。


悠斗にバトンタッチした私のチームは悠斗が2周目までに抜き返して僅差で1位。


教員チームは陸上部の顧問の若手教員が二人抜いて3位を走っていた。



そして陸上部顧問から、教員チームアンカーの藤野先生にバトンが渡る。


さすがに陸上部顧問だけあって、藤野先生へのバトンパスは完璧だった。


藤野先生も不安げ無くバトンを受け取り、1周目を走り始める。



画面はトップを走る悠斗が私にバトンパスをするシーンに切り変わり、私の走りが画面右下に映し込まれる。


代わりに画面中央に映し出されたのは、藤野先生。


綺麗なフォームで、ぐんぐんスピードを上げていく。



それは1周が過ぎても止まるところを知らず、何も考えずにただ走り抜ける私の背中を追いかけてどんどん差を縮めていた。


先生は2周目に入ってほどなく2位を走っていた部活動Aチームを抜き去り、ますます私の背中に迫る。



観客席からどよめきのような歓声が上がり続けているのが分かる。


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