先生がいてくれるなら②【完】
そして私は、ここでハッと思い出した。
市橋君には先生との事がバレてる気がするんだけど、他の部員にはどうだろうか?
私は市橋君を手招きして教室の端に移動し、こっそり尋ねてみる事にした。
「ね、市橋君ってさ、私と先生の事……知って、る?」
私の表情が余程困った感じだったのだろうか、市橋君は眉を下げてとても申し訳なさそうな顔になった。
「大丈夫だよ、立花さん。僕たち、先生のとの付き合いは立花さんより長いからさ」
「えっと……」
私が困惑したままでいると、市橋君は他の部員4人に声を掛けて呼び寄せた。
「大丈夫。みんな、二人の事は絶対に口外しないから。ね?」
全員が、うんうんと頷く。
「え、待って、みんな知ってるの……?」
「……」
「うそ……そんなに分かりやすかった?」
悠斗にもバレてるし、市橋君だけじゃなく他の二年生部員にもバレてるって、そんなに私は分かりやすい態度だったかな、と困惑していると。
「あ、そうじゃないから安心して。僕たち5人しか気づいてないから。一年生は知らないよ」
いえ、えっと、これって、安心して良いのかなぁ。