先生がいてくれるなら②【完】
リレー上映会の後すぐに私たち二年生は数研の部室に戻り、一年生と共に雑談を始めた。
珍しく顧問の藤野先生も雑談の和に加わっている。
いや、正確には座って話を聞いてるだけだけど。
「立花先輩って、足速かったんですね!」
一年生部員の塚本君が言うと、全員がうんうんと頷く。
「んー、中学の時は陸上部だったからね、一応」
「あれ? 先生も陸上部出身じゃなかったでしたっけ?」
新部長で2年1組の川原君が先生に話を振ると、先生は相変わらずの無表情で腕組みをして座ったまま微動だにしない。
だからあんなに速かったのか……。
育祭前にリレーに勝手にエントリーされたと嘆いていた時は、そんな事おくびにも出さなかったくせに。
そういう所、ほんとに狡い。