先生がいてくれるなら②【完】
その食事会の2回のうちの1回はもう既に行われて、残るは1回。
それが、私を含めた会食になろうとは、先生も全く予想していなかったらしい。
うーん、私なんかが行っても良いのだろうか。
とにかく、先生のお父様である藤野教授に呼ばれた、と言うことに、私はとても緊張してしまう。
そして、はた、と気付く。
「え、待って下さい、会食って、ど、どこでですか? あの、マナーとか服装とか、全く分かりませんけども!」
そうですよ、私、ごくごく普通の一般的な庶民の家で育ったから、先生のご実家のようなお金持ちのおうちのマナーとか全く分かりませんっ!
壊れかけてる私をよそに、先生はいつも通り冷ややかな表情で……。
「場所は実家。そんなかしこまらなくて大丈夫だから。所詮は家族での食事だし」
「いやいやいや、かしこまるでしょう、かしこまりますとも! ふ、服装は、ドレスとかですかね!?」
「……は?」
そんな、馬鹿を見るみたいな目で私を見るのはやめて下さい!
あたふたと慌てふためく私を余所に、先生は「服は普通にワンピースとかの普段着で大丈夫だから」とちょっと笑いながら答えた。
藤野家の会食──なんかこわい……。