先生がいてくれるなら②【完】
私の妄想ワールド全開の間に先生の運転する車は、先生のご実家へと到着した。
まぁ、予想通りの大きなお家で、びっくりを通り越して、もはや唖然……。
お家の全貌が全く分からないまま私たちはどこかの大きな部屋に通され、その部屋は多分応接室とか言う部屋のような気がする。
座って待つように言われ先生の隣でソファに大人しく座ってると、先生が「緊張しすぎ」と言って私のほっぺのお肉をむにっと引っ張った。
「だって、緊張しますよ! 普通に教授にお目にかかるのも緊張するのに……ご家族全員と一緒にお食事だなんて」
「大丈夫。それに、そんな無駄な事しなくて良いから」
「む、無駄って」
「緊張するだけ無駄だよ。ついでに言えば、一緒に食事する事はもっと無駄だと俺は思ってるけど」
「もう、先生っ」
あれからも、先生と先生のお父様である藤野教授の溝は埋まらないまま。
私としては、家族なんだからもうちょっと仲良くして欲しいんだけど……それは私に口出し出来ることじゃない。
分かってるけど──。
教授は先生との距離を縮めたがってるんだと私は思う。
前に病院で会った時も、先生のことをとても気にされている様子だったし。
そうだよね、やっぱり親子だもん……。