先生がいてくれるなら②【完】

応接室の扉が開いて、男性が二人入ってきた。


一人は先生の弟さんの光貴先生で、もう一人は更に若い男性──きっと下の弟さん。


私は立ち上がって、光貴先生ともう一人の弟さんと思われる男性に会釈をした。


「光貴先生、こんにちは」

「こんにちは立花さん」


私と挨拶を交わして、光貴先生は孝哉先生に目配せをする。


孝哉先生はそれをちゃんと受け取って、私と下の弟さんを交互に見たあと「下の弟の、広夢(ひろむ)」と、弟さんの紹介をしてくれた。


私の事はどういう風に説明してくれるんだろう、と身構えていると。


「自分で自己紹介しといて」と言って、ふいっと、そっぽを向いてしまった。


えー。ひどい先生ー。


「ちょっと兄さん、それは無いんじゃない?」


そうだそうだ!


私の代わりに抗議してくれたのはもちろん心優しい光貴先生だった。


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