先生がいてくれるなら②【完】
私と教授が病院で会う事があるのを孝哉先生は知らないし、先生はと言うと、私との事を教授に報告する気は今のところ無いようだった。
教授には何も言えずにここまで来てしまったのだけど……多分全てを知っている光貴先生から、それこそ教授は全てを聞いているに違いなかった。
そもそも、教師と生徒が付き合うとか規格外な事を教授が認めて下さっているかどうかも私は知らなかったから、とにかく先に謝ってしまおうと言う卑怯な謝罪でもあるのだけれど。
私の形だけの謝罪の言葉に、藤野教授はフッと笑って「問題ないよ」と言い、その後に「分かっていた事だから」と付け加えた。
教授の言葉に、光貴先生も「気軽に話せる話題でも無いしね。それに、ふたりのお互いを思い合う気持ちはよく分かってたから」と頷く。
だけど。
この二人も分かっているはずだ。
孝哉先生と私は、“教師” と “生徒” だ。
普通ならこんな関係は許されない。
普通は家族として、反対したりする所なんじゃないだろうか。
教師が教え子に手を出すとか、多分、いや絶対良くないことだし……。