先生がいてくれるなら②【完】
緊張する立花に「そんな無駄な事しなくて良いから」と話しているうちに、弟たちが応接室に入ってきた。
光貴とはマンションも隣の部屋だし病院へもよく呼び出されるからしょっちゅう会ってるが、広夢とは久しぶりに会う。
元気そうで安心した、よくこんな家から大学に通ってるもんだと感心するよ兄ちゃんは。
立花に広夢を紹介して……
待てよ、広夢には立花のことを何て言えば良いんだ?
教え子?
……んなわけに行くか、教育上よろしくねぇわ。
きっと光貴ならうまく言葉を選んでくれるだろう、こいつそう言う所は誰に似たのか妙に上手いし。
立花に自己紹介させるふりをして、実質、光貴に対応を丸投げした。
いつも使いっ走りさせられてるし、これぐらい良いだろ、後は頼む。
たまには兄を助けろ。
光貴はため息をついていたが、やはりそこは俺の弟、ちゃんと俺の意図を汲んで……
「こちらは兄さんがお付き合いしている、兄さんの最愛の女性の立花明莉さん」
──は!?
光貴、お、お前……いま何つった!?
それに対して、「そうなんですね、広夢です、よろしくお願いします」と立花に向かって深々と頭を下げる広夢、お前もどうかしてる!