先生がいてくれるなら②【完】
……しばらく広夢に会ってなかった俺は、すっかり失念していた。
広夢は、どっちかって言うと俺より光貴に似てるんだった……。
あー、光貴に任せたのは失敗だったな。
……いや、まぁ良いか、どうでも。
この場では、名前と顔が分かれば十分だろう。
弟たちとの挨拶を終えて、再び隣に腰を下ろした立花がちょっと微笑みながら、俺の手の上に暖かくて小さな手を重ねて来る。
──なに?
俺が怪訝な目で見ると、立花は俺の手をギュッと握った。
『先生の気持ちなんかお見通しです』って言われてる気がして、俺は小さくかぶりを振り、ため息を一つ落とした。
ホント、お前ってとんでもないヤツだなぁ。