先生がいてくれるなら②【完】

私たちは外食だって滅多にしない。


ほとんどの場合は私が先生の家で食事を作って一緒に食べる。


でも、私はそれもすごく楽しいから好きなんだけどな。


だからクリスマスもそれで良いと思ってるんだけど。


いつもよりちょっと豪華なクリスマスらしいメニューにして、パーティーみたいに綺麗に飾り付けて。


……想像するだけで、既に楽しい。



「なぁ、立花」


先生がちょっと神妙な顔で私を呼ぶ。


私が「はい」と返事をすると、先生は「お前さ、……我慢してないか?」と聞いた。



我慢……? なにを?



私は特に何も思い浮かばなくて、思わず首を傾げた。


んー、特に我慢してる事なんて、何も無いんだけど。



それを見た先生は小さなため息を吐く。



先生は少し何かを考えた後「じゃあ、一緒に食事って言うのはもちろんOKだから、他のことは俺に任せてくれる?」と言って私の顔を覗き込んだ。


「はい。でも、先生の負担にならないようにお願いしますね?」


私がそう答えると、先生は私の頭をポンと優しく撫でた後「大丈夫」と言って微笑んだ。



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