先生がいてくれるなら②【完】
──車から降りる直前に、私は先生に用意したクリスマスプレゼントを手渡していた。
何にしようか随分迷ったけど、高校生のお小遣いで買えるもので先生に使って貰えるものなんて、なかなか思いつかなくて。
大人の男の人って、どんなものを貰ったら嬉しいんだろう……って、そんな所から始まった私のプレゼント探しはとても難航した。
期末テスト前で部活の無い美夜ちゃんにプレゼント選びに付き合ってもらって。
ネクタイなんかは定番なんだろうけど先生は学校ではネクタイしないし、プライベートもスーツは滅多に着ない。
腕時計なんかは高くて買えないし。
やっぱりマフラーとかの防寒具かなーって話になって、私は先生の手がひんやりしてる事が多いのを思いだして。
──まだ先生に出会ったばかりの頃、何度か『先生の手ってすごく冷たい』って思ったことがあった。
それはだいたい車の中で手を握られた時だったんだけど。
最初は少し肌寒い日だったからかな、とも思ったけど、夏に近づいてもそれはあまり変わらなくて。
先生って末端冷え性なのかな。
いずれにしても、それが決め手となって私は先生に手袋を贈ることにしたんだ。