先生がいてくれるなら②【完】
「!?」
よく見るとそれは、私の腕につけられたブレスレットで……。
繊細なチェーンにハートの飾りと、透明の光る石……。
「えっ……!?」
起き抜けで回らない頭を必死に動かして考えてみるけれど、それを私の腕につけたのは間違いなく先生しかいないわけで……。
「せ、先生、これ……」
「んー、きっと立花がお利口さんにしてたから、サンタさんがくれたんだろ。サンタさんに “良い子” って認めて貰えて良かったな?」
先生は半分笑いながら、私の腕に付けられているブレスレットに唇を押し当てる。
──ありがとうサンタさん。
じゃなくて。
「先生っ」
「ん?」
「ありがとうございます、すごく嬉しいです!」
「うん、サンタさんに伝えとく」
「……もうっ、先生っ」
私が先生にギュッとしがみつくと、先生は私の頭をふわりと撫でて──そのあとなぜか私をそっと引きはがした。
「先生?」
先生はベッドから降り「コーヒー淹れてくるから、ゆっくり起きておいで」と言って寝室から出て行ってしまう。
もう、先生……。
私は半分起こしていた身体を再びベッドへ戻し、仰向けになって左腕を高く掲げる。
左の手首に巻き付いた、綺麗なブレスレットがキラキラと光っている。
「……しあわせ……、先生、ありがとうございます」
私はひとりそう呟いて、ブレスレットにそっと口づけた────